報を提供することが必須の要件ではないでしょうか。その点が今回の事故では満たされていなかったようで、その後の流出油災害の拡大を招いた事実からも感じられる思いがしますね。
荒天下の安全運航確保の技術的問題は古くて新しい問題です。ロシア船云々ではなく、技術の伝承とその発展は常に新しい時代の大きな課題であるとの反省の思いがいたします。
今回の事故の教訓を具体的に生かすことこそ今後の課題でしょう。と思っています。
C重油流出対策
油濁研究所
所長 松本謙
今回は四つの点を痛感しました。
@通過タンカーの事故だったこと。
わが国では、日本海の通過タンカーには関心が薄く、積み荷についても外国船のせいもあり情報が不足していました。
A領海外で沈没したこと。
防除体制のもとになる法律として、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律と石油コンビナート等災害防止法の二つがありますが事故が領海外で発生し、流出油等が領海内に入るなど、盲点を突かれた形になりました。
B発生場所が沖合だったこと。日本の流出油防除対策は、資機材配備がオイルフェンスで囲って回収し、残油を処理剤等で処理するというオーソドックスのため、今回のように外洋の場合には、対応が困難でした。いまのところ外洋向きの油処理の適切な具体像が日本にはありません。
C対応には実務が必要なこと。
対応には、観念ではなく実務が必要ですが、日本ではソフトとハードのバランスがとれていません。
日本はソフト優先、外国はその逆です。海岸清掃を含めて今後外国との実務交流が必要でしょう。
最後に総括しますと、日本は機械力に対する積極性が弱く、費用がかかることもあり、人力が先行しがちです。さらに、日本の情報不足が問題です。勉強不足とも言えます。

 

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福井県三国町を通じ、油防除等ボランティア活動に対する災害見舞金として五百万円を決定
日本財団は、ロシア船籍のタンカーが日本海で座礁し、大量の重油が漂流し、漁業関連産業に大きな災害をもたらすことが危慎されている福井県三国町に対し、一月十三日(月)油防除等に数多くのボランティアが現地活動を行っている事を考慮し、五百万円の災害見舞金を決定しました。
この見舞金は、一月十八日(土)に、本財団会長曽野綾子が三国町長半澤政二氏(ロシアタンカー油流出事故三国町対策本部長)へ直接お渡ししました。また現地のボランティアの方々を激励させていただきました。
(日本財団のインターネット情報から)

 

 

 

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